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どこであの小説の電子版が読めるのか調べてみた-6ストアで比較

2012.11.24

どこであの小説の電子版が読めるのか調べてみた-6ストアで比較 はコメントを受け付けていません。

  先日エントリーした記事「どこであのマンガの電子版が読めるのか調べてみた-7ストアで比較」が評判が良かったので、今度は「小説」で調べてみました。

 先日届いたばかりの「KindlePaperwhite」で電子書籍を読んでみた感じでは、やはりページ遷移の関係もあって、小説など活字コンテンツの方が相性がいいなと感じています。

 マンガの場合、活字に比べてページをめくる速度が速い方が多いと思いますので、タブレットの方が読みやすいと思います。また、「スライダー」の存在はありがたい機能です。

 

どれくらいの人気小説が電子書籍ストアで売っているのか?

 というわけで、相変わらず前置きが長いですが、今回は小説版です。

 今回の調査対象は、2004年から始まった、書店員が選ぶ売りたい本の大賞「本屋大賞」からピックアップしました。
 昨今では、すっかり直木賞・芥川賞を始めとする文学賞の権威が落ちて(ブランドバリューはあっても売上には結びつかない)いるケースが目立ちます。

 その中で、書店員という、一般人からすれば「本に詳しい人」「いつも本に触れている人」「本を買っていくお客さんを間近で見ている人」が選ぶ賞というのはなかなか面白い着眼点だと思います。

 「本屋大賞」も回を重ね、色々思うところがある方もいるようですが、比較的評価の高い作品が多いこと、売れ筋作品も多いことから、今回はこれを調査対象としました。

 

 マンガ版で調べたストア「ニコニコ静画」「eBookJapan」はあまり活字コンテンツに強くないので外し、代わりに「honto」を入れ、6サイトで比較調査しています。

 ということで、調査対象ストアは、「Kindleストア」(Am)、「koboイーブックストア」(Kb)、「BookLive!」(Bl)、「紀伊國屋BookWeb」(Ki)、「Reader Store」(Re)、「honto」(Ht)となります。
 ()内は表示上の略称となります。

 

 なお、今回は「ストア別」「出版社別」「判型別」での比較調査もしています。各タイトルごとはどうでもいいけど、集計結果だけ見たい、という方はずずっとページ後半までお進みください。

 では、早速見ていきましょう。

 

2004年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『博士の愛した数式』
小川洋子(新潮社)
×
『クライマーズ・ハイ』
横山秀夫(文藝春秋)
『アヒルと鴨のコインロッカー』
伊坂幸太郎(東京創元社)
『永遠の出口』
森絵都(集英社)
× × × × × ×
『重力ピエロ』
伊坂幸太郎(新潮社)
×
『4TEEN』
石田衣良(新潮社)
×
『デッドエンドの思い出』
よしもとばなな(文藝春秋)
× × × × × ×
『終戦のローレライ』
福井晴敏(講談社)
× × × × × ×
『陰摩羅鬼の瑕』
京極夏彦(講談社)
×
『ららら科學の子』
矢作俊彦(文藝春秋)
× × × × × ×

 

2005年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『夜のピクニック』
恩田陸(新潮社)
× × × × × ×
『明日の記憶』
荻原浩(光文社)
× × × × ×
『家守綺譚』
梨木香歩(新潮社)
× × × × × ×
『袋小路の男』
絲山秋子(講談社)
× × × × × ×
『チルドレン』
伊坂幸太郎(講談社)
『対岸の彼女』
角田光代(文藝春秋)
『犯人に告ぐ』
雫井脩介(双葉社)
× × × × × ×
『黄金旅風』
飯嶋和一(小学館)
×
『私が語りはじめた彼は』
三浦しをん(新潮社)
× × × × × ×
『そのときは彼によろしく
』市川拓司(小学館)
×

 

2006年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』
リリー・フランキー(扶桑社)→(新潮文庫)
× × × × × ×
『サウスバウンド』
奥田英朗(角川書店)
× × × × × ×
『死神の精度』
伊坂幸太郎(文藝春秋)
『容疑者Xの献身』
東野圭吾(文藝春秋)
× × × × × ×
『その日のまえに』
重松清(文藝春秋)
『ナラタージュ』
島本理生(角川書店)
× × × × × ×
『告白』
町田康(中央公論新社)
× × × × × ×
『ベルカ、吠えないのか?』
古川日出男(文藝春秋)
× × × × × ×
『県庁の星』
桂望実(小学館)→(幻冬舎文庫)
× × × × × ×
『さくら』
西加奈子(小学館)
× × × × × ×
『魔王』
伊坂幸太郎(講談社)

 

2007年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『一瞬の風になれ』
佐藤多佳子(講談社)
『夜は短し歩けよ乙女』
森見登美彦(角川書店)
『風が強く吹いている』
三浦しをん(新潮社)
×
『終末のフール』
伊坂幸太郎(集英社)
× ×
『図書館戦争』
有川浩(メディアワークス)→(角川文庫)
×
『鴨川ホルモー』
万城目学(産業編集センター)→(角川文庫)
×
『ミーナの行進』
小川洋子(中央公論新社)
× × × × × ×
『陰日向に咲く』
劇団ひとり(幻冬舎)
『失われた町』
三崎亜記(集英社)
× ×
『名もなき毒』
宮部みゆき(幻冬舎)→(文春文庫)
× × × × × ×

 

2008年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『ゴールデンスランバー』
伊坂幸太郎(新潮社)
×
『サクリファイス』
近藤史恵(新潮社)
×
『有頂天家族』
森見登美彦(幻冬舎)
『悪人』
吉田修一(朝日新聞社)
『映画篇』
金城一紀(集英社)
× × × × × ×
『八日目の蝉』
角田光代(中央公論新社)
× ×
『赤朽葉家の伝説』
桜庭一樹(東京創元社)
× × × × × ×
『鹿男あをによし』
万城目学(幻冬舎)
『私の男』
桜庭一樹(文藝春秋)
『カシオペアの丘で』
重松清(講談社)

 

2009年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『告白』
湊かなえ(双葉社)
× × × × × ×
『のぼうの城』
和田竜(小学館)
『ジョーカー・ゲーム』
柳広司(角川書店)
× × × × × ×
『テンペスト』
池上永一(角川書店)
『ボックス!』
百田尚樹(太田出版)
× × × × × ×
『新世界より』
貴志祐介(講談社)
『出星前夜』
飯嶋和一(小学館)
× × × × × ×
『悼む人』
天童荒太(文藝春秋)
× × × × × ×
『流星の絆』
東野圭吾(講談社)
× × × × × ×
『モダンタイムス』
伊坂幸太郎(講談社)

 

2010年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『天地明察』
冲方丁(角川書店)
『神様のカルテ』
夏川草介(小学館)
『横道世之介』
吉田修一(毎日新聞社)→(文春文庫)
『神去なあなあ日常』
三浦しをん(徳間書店)
× × × × × ×
『猫を抱いて象と泳ぐ』
小川洋子(文藝春秋)
『ヘヴン』
川上未映子(講談社)
× × × × × ×
『船に乗れ!』
藤谷治(ジャイブ)→(ポプラ文庫)
× × × × × ×
『植物図鑑』
有川浩(角川書店)
× ×
『新参者』
東野圭吾(講談社)
× × × × × ×
『1Q84』
村上春樹(新潮社)
× × × × × ×

 

2011年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『謎解きはディナーのあとで』
東川篤哉(小学館)
× ×
『ふがいない僕は空を見た』
窪美澄(新潮社)
×
『ペンギン・ハイウェイ』
森見登美彦(角川書店)
× × × × × ×
『錨を上げよ』
百田尚樹(講談社)
× × × × × ×
『シューマンの指』
奥泉光(講談社)
『叫びと祈り』
梓崎優(東京創元社)
× × × × × ×
『悪の教典』
貴志祐介(文藝春秋)
『神様のカルテ2』
夏川草介(小学館)
× × × × × ×
『キケン』
有川浩(新潮社)
× × × × × ×
『ストーリー・セラー』
有川浩(新潮社)
× ×

 

2012年本屋大賞受賞作「電子書籍化」状況
  Am Kb Bl Ki Re Ht
『舟を編む』
三浦しをん(光文社)
× × × × × ×
『ジェノサイド』
高野和明(角川書店)
× × × × × ×
『ピエタ』
大島真寿美(ポプラ社)
× × × × × ×
『くちびるに歌を』
中田永一(小学館)
× × × × × ×
『人質の朗読会』
小川洋子(中央公論新社)
× × × × × ×
『ユリゴコロ』
沼田まほかる(双葉社)
× × × × ×
『誰かが足りない』
宮下奈都(双葉社)
× × × × × ×
『ビブリア古書堂の事件手帖』
三上延(メディアワークス)
× × × × × ×
『偉大なる、しゅららぼん』
万城目学(集英社)
× × × × × ×
『プリズム』
百田尚樹(幻冬舎)
× × × × × ×

  

まとめ

 2004年から2011年の間にノミネートされた作品は、合計91点になります。
 これをまとめると、こうなりました。

●どこのストアでも買えない(電子書籍がない)作品は、46作品(51%)
●どこのストアでも買える作品は、25作品(27%)

 「マンガ大賞」での結果は、
●どこのストアでも買えない(電子書籍がない)作品は、20作品(37%)
●どこのストアでも買える作品は、17作品(31%)

 という結果でしたので、読めない作品は小説の方が多くなっています。
 小説よりも、売上の大きなマンガを優先した結果でしょうか。

 

ストアごとの配信状況

 続いて、各ストアの販売状況をまとめてみます。

  購入できる作品 購入できない作品
「Kindleストア」 37点 41% 54点 59%
「koboイーブックストア」 27点 30% 64点 70%
「BookLive!」 43点 47% 48点 53%
「honto」 43点 47% 48点 53%
「紀伊國屋BookWeb」 43点 47% 48点 53%
「Reader Store」 43点 47% 48点 53%

 

 結果をまとめるとこうなります。

●ストアが独占的に扱っているの電子書籍は2点のみ(2%)
●koboイーブックストア以外は、取り扱い点数に大差なし

 独占的に扱っているタイトルは、hontoが1点、Amazonが1点となっています。
一方、他店が扱っているのに自店では扱っていない点数は、koboイーブックストアが16点、Amazonが7点、hontoが1点となっています。

 koboイーブックストアが点数が少ないのは、同社がEPUBファイルでの配信にこだわっているからと思われ、今後既に電子書籍化されている作品については、順次変換が終わり、入荷されるものと思います。
 また、スタートから日が浅いKindleストアは、単にタイムラグがあるからではないかと想像できます。

 というか、小説の場合、同じ「電子書籍取次」から仕入れているのか、Amazonとkobo以外は、買える作品も買えない作品も同じです。
 どこを選んでも差がないのは嬉しい反面、読めない作品はずっと読めない不満もあります。 

 

出版社別では違いがあるのか?

 では、出版社ごとに電子書籍への取り組みが大きく違うことはあるのでしょうか?
 ここでは、ノミネートが5作品以上の出版社をピックアップしてまとめました。

  合計 電子書籍 割合
講談社 14点 8点 57%
新潮社 14点 8点 57%
文藝春秋 14点 8点 57%
角川書店 11点 6点 55%
小学館 9点 5点 56%
幻冬舎 5点 3点 60%
集英社 5点 2点 40%

 

 特にどこが電子書籍化に鈍い、特化しているということはなさそうです。
 ちなみに文庫化されている作品は、電子書籍化も文庫の版元が主導していると考え、集計はそちらにしています。

 大体どこも同じように電子書籍には取り組んでいるようです。講談社や新潮社はニュースになるほど話題でしたが、他もそんなに変わらないのかもしれません(全点調べないと本当のところは分かりませんので、これはあくまで想像です)。

 

判型での違いはあるのか?

 さて、小説の場合、多くは単行本(または新書・書き下ろし文庫)として出版後、廉価版となる文庫として出版されます。
 単行本は1000円~3000円程度と比較的高額ですが、文庫の場合400円~1000円程度と比較的安くなることもあり、読者家の中にも「文庫落ち」してから本を購入するという方も珍しくありません。

 では、出版社としては文庫化されてから電子書籍化するというルートを選んでいるのでしょうか?

 ノミネート作品の内、文庫化されているのは(最初から文庫で出版された『ビブリア古書堂の事件手帖』を除く)73点で80%に及びます。
 これを集計するとこうなります。

  文庫 未文庫
電子書籍化されている 42点 58% 3点 17%
電子書籍化されていない 31点 42% 15点 83%

 

 確かに文庫版は電子書籍化されている作品は50%を超えていますが、しかしながら点数では31点もの未電子書籍化作品があり、顕著な結果とは言えません。

 文庫化作品の場合、電子書籍の価格を、文庫価格以上に上げることはできず、結果的に安価になります。

 一方、未文庫化作品の場合、単行本に対しての価格差になりますので、その分、価格を引き上げることができます。
 となれば、本来、未文庫化作品ほど、早めに電子書籍化するのがお得だと思うのですが、出版社の前にはまだまだ「電子書籍は儲からない」という「事実」があるのでしょうか。

 

 これまでは確かに「事実」儲からなかったはずですが、今度こそは電子書籍の拡大が期待できる今。

 鶏が先か、卵が先か、という話もありますが、少なくともそこに「場」はあります。

 「客」がいるかは分かりませんが、まずは「鶏」なのか「卵」の役割なのかは分かりませんが、「コンテンツ」の塊である「電子書籍」をそこに放り込むこと。
 それこそが電子書籍市場の幕開けにある行動だと思います。期待して待ってますので、どうぞよろしくお願いいたします(でないと、また本棚がパンクします)。

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